ちょっと一息いけるぅよ

ちょっと一息いけるぅよ

海外で学校生活を送ってます。面白いなって思ったこととか役にたちそうことを定期的に吐きます。ややホームシックなので優しくされると元気になります。

初心者がちょっと小説書いてみた!

どうもこんにちはいけるぅよです!

 

 

冬って快晴の日が続いて外出するのが気持ちがいいですよね!

 

まぁ僕は部活以外家に引きこもっているのですが・・・。

 

 

 

 

そんなことより先にタイトルの誤解について説明します。

 

まず小説を書いたのはいけるぅよではありません。

 

 

友達がある日突然

 

「小説書いてみたから読んでほしい」

 

との告白があって・・・

 

 

 

読んで感想を述べたのですが、なにしろその友達も友達が少ないっ!!!(バラしてごめんよ汗)

 

 

というわけでこの場で紹介させていただきます!

 

 

 

小説とは言っても本当に教科書に載ってるような短編ですし、小説を意識して書いた初めての作品ですので

 

表現とか言葉遣いが素人臭いのは多少見逃して、生暖かい目でみて、あわよくば感想までいただけたらめっさ嬉しいです。

 

 

10〜20分ほどで読み切れるものです。

 

時間があるときにおつきあいいただけたら幸いです。

 

 

 

あ、題名とかあるのかな?特になにも聞いてないから、いきなり序章から始めさせていただきます!!!

 

 

 

 

以下、友達の作品の紹介です

 

 

 

序章

僕はもう疲れた。

この混沌とした世の中に。
人間に。
猫は思った。そしてその瞬間彼の足は冷えきった乾いた冬の空を駆けた。
一生とも思える数秒間。長い。あぁ戻りたい、戻りたかった。平和で和気藹々としていたあの頃の生活に。轟音とともに一つの命がこの世を去った。


第一章

去年の初夏のある日。その日僕は会社で解雇を言い渡された。いわゆるクビというものだ。その足で居酒屋へ向かい、この悶々とした恐怖と不安の入り交じった気持ちが晴れるまで酒に浸っていた。しかし、それ以降の記憶がないのだ。どうやら僕は記憶をなくすまで呑んでいたようだった。不覚。そんなことはかつて一度もなかったのに。とにかく今は動き出さねばならない。求人情報でも探しにいかねば一気に路上生活だ。そして重い腰を上げた時
「にゃあ」
ん?猫か?と思い周りを見渡した。その時僕は戸惑いたじろいだ。僕の見たその景色は、自分がいつも目にしていた光景とはあまりに違っていたのだ。地面は目線から近く、ブロック塀は頭の遥か上、手足の裏には何とも言い表しにくい黒い柔らかいものがついていた。その上お尻にはほかの猫の半分ほどしかない長さの尻尾。極めつけは手足である。何とも明るい茶色の毛が手足を覆うように、いや、体全体を覆うように生えていたのであった。僕はしばらく立ちすくんだ。事態が飲み込めなかったのだった。前日の雨でできたであろう水たまりを見つけた。その水たまりを覗き込んだ僕は確信した。
僕は猫になったのだ。と。


第二章

僕は戸惑いの中、歩を進めることにした。何かをしていないとむずむずする性なのだ。まぁそのせいで解雇になったのだが・・・
しばらく歩いてふと思った。ここはどこなのかと。そこで僕は現在地のヒントとなるものを探した。ここからはなかなか高い建物が見えない。視点が低いとここまで見えるものが少ないのかと初めて気がついた。あのブロック塀に登れればなぁと思った。やってみるか。後ろ足に力をためロケット台のように力を溜め込んだ。僕は空中を飛んだというよりは駆けたという感覚に近いだろう。自分の背丈の数十倍はあるブロックの塀の上に乗ることが出来たのだから。その時自分が改めて猫になったことを実感した。
「すげぇ。飛べちまった。」
「何を言ってるんだ。猫なんだからこんな塀に乗れるくらい当たり前だろ。」
声がする方向には一匹の黒猫がいた。
「やぁ。久しぶりだねポール。」
ポール?ポールとは誰のことなんだ?しかし、その黒猫は僕から一向に目をそらそうとしない。どうやらポールというのはこの猫の名前のようだ。猫にも名前があるのだなと思った時。
「ポールどうしたんだい?犬にでも吠えられたかい?」
僕は恐る恐る声を発した。
「君の名前はなんだい?」
黒猫は笑った。
「ポール何を言っているんだい?そんな冗談面白くないぞ。久しぶりに魚でもとりにいかないかい?君のあの早業が見たくなってね。」
僕はこれ以上何かを言う気になれなかった。何を言っても無駄だと思ったからだ。それと同時に余計なことを言って立場を悪くしたくなかったからだ。なにせ自分が状況を読み込めていないのだから。黒猫は言った。
「ポール、最近きみはなにをしていたんだい?例の集会には顔を出さないし、誰かに飼われることになったんじゃないかってみんな心配してたんだぞ。人間に飼われるなんてたまったものじゃない。ところで、そこらじゅう、ついこないだジャックがこんな大きな魚を取ってきたって話で持ちきりさ。」
と言いながら短い前足とでも言うのか、手とでも言うのか目一杯広げていた。
どうやらこの黒猫は悪い猫ではなさそうだ。しばらくはこの黒猫と一緒にいることにした。


第三章

僕は黒猫と魚を捕りに川へ向かっていた。すると向かい側から一匹の猫が現れた。
「ようポール。相変わらず短い尻尾だな。」
黒猫が言った。
「やあジャック。今から魚を取りにいくが君も来るかい?ポールのあの早業を見に行くんだ。」
どうやらこの猫が例のジャックのようだ。
「ナイト、君はあの大きさの魚を取ったことはあるかい?魚を取ることは僕の得意中の得意。行かない訳がないだろう。」
どうやらこの黒猫の名前はナイトというらしい。なんとも派手な名前だ。人間語?的には騎士という名前なのだから。
そして三人で川向かっていると川辺に一人の人間が釣りをしていた。そこでジャックは
「今日の取れ高でも見てくるか」
といってその人間に近づいていった。僕はナイトとのたわいもない話に夢中になっていたが、その人間の顔が目視できるところまでくると戦慄した。そう。まぎれもない自分だったのだ。自分はスーツ姿で枝にひもを括り付け少し大きめの石に腰をかけて座っていた。ネクタイは緩み、ワイシャツはしわだらけ髪はボサボサでなんとも疫病神が取り付きそうな形相をしていた。すると、ジャックが帰ってきて
「あの人間えさをつけていないぜ。なにを考えているんだ。格好も格好だ。その上酒臭い。なにされるかわからない邪魔されたらたまらない。場所を少し変えよう。」
ぼくはどうしても自分のことを見ていたかったので
「嫌だ。ここでやろう。」
と言ったのだが少し語調が強かったのかジャックが
「お、お前がそんなに言うなら良いけど、邪魔されて魚がとれなくったって俺のせいにするなよ」
と多少たじろぎながら言っていたがもう既にジャックへの申し訳なさや言葉、存在までもが僕の心や耳へは届いていなかった。僕の目はいや、全神経は釣りをしている一人の人間。自分だけに集中していたのだった。


第四章
ポールは大好きな魚を捕っていた。いつもの川辺で、でも今日はいつものように川に入って手づかみではなく、枝を使って釣りをしていた。つい先日なぜか人間になってしまったのだ。今すぐにでも川へ飛び込んで釣りをしたい衝動に自分の理性を侵されそうになる。そんなことを考えているとそこに一匹の猫が近づいてきた。なんともどこかジャックに似ているような気がしたが猫なんてそこらじゅうにたくさんいる。そんなわけがないと思い僕はすぐに考えることをやめた。僕はなにをしているんだろう。いつものように集会に行き、ひなたぼっこをしてグダグタとしたい。まぁ、今でもグダグダしてる訳なのだが。なれない二足歩行をするよりも座っていた方が楽なのだ。その上この先なにをすれば良いのかもわからない。そこにすぐそばで三匹の猫が川へ入っていった。どうやら魚を捕るらしい。どれどれ、俺の早業を超える猫はいるのかなどと考えながら猫を見ていると一匹の猫に目がいった。その猫には体格に見合わないあまりにも短すぎる尻尾があった。妙になじみのある尻尾で食い入るように見ていると僕は確信した。あれは僕の尻尾だ!あの明るい茶色の毛並み。自分が猫であったときとまるで同じようだった。するとさっき近づいてきたのはジャックであったことも確信した。そして二匹とは少し離れて一匹の魚をじっくり狙っているクレバーな黒猫は間違いなく親友のナイトだ。今すぐ駆け寄って話を聞きたいが突然川に入って驚かれて逃げられては困るし、言葉の通じるかもわからない。というか通じないだろう。なので慎重に作戦をたてることにした。僕は猫だ。猫の気持ちになって考えることくらいたやすい。考えれば魚を捕まえ食べた後はすこし日向でウトウトするのが魚取りの醍醐味なのだ。そこのタイミングでゆっくりと近づいていけば何か出来るかもしれない。と、じっと魚を捕り終えるのを待つことにした。


第五章

僕は最初の頃はずっと自分の姿を見ていたのだが、魚取りを始めるとなんとも面白くて食い入るようにやっていたのであった。その時ふと自分が離れていた所にいたナイトがよってきて
「あの人間がさっきからこっちを見ているぞ」
といってきたのだ。その時ふと自分が釣りをしていることを思い出し我に返った。まださっきの場所にいてとりあえず安堵した。遠くでジャックの声が聞こえた気がしたが、これ以上魚取りに夢中になり我を忘れたくなかったのでとりあえず無視をすることにした。僕は魚取りを中断した。
「おい!ポール!もう終わりかよ!まだまだやるぞ俺は!」
「少し足をけがしたようだから休憩することにするよ」
と嘘をついた
「けっ!相変わらずドジ踏みやがって!そこで俺様の美技に酔っておくんだな!」
とあいかわらずよくわけのわからないことを叫んでいるジャックを視界の端に寄せ、焦点を自分に合わせた。すると自分と目が合った。すると自分は立ち上がりこっちへ近づいてきた。先ほどまでバシャバシャと魚を捕まえていたジャックもいつの間にかナイトとともに岸へ上がって何やらしきりにコソコソと話している。
「よぉ。ポール。」
ん?この猫の名を知っているのか?というかいったい誰が猫の名前を付けたのだろうか?人間なのか?はたまた親猫なのか・・・
「にゃぁ」
「それは返事なのか?あいにく猫のことばがわからなくなってしまってね」
なにを言っているんだ自分は。自分はおかしくなってしまったのか。その可能性は十二分にある。なんてったって解雇されてしまったのだから。僕は人間の時一度だって猫なんかに話しかけたこと一度もないぞ!と憤りを感じた。
「俺は元々猫だったんだ。よくわからんが人間になってしまった。不便ったらありゃしない。」
この時僕は一つの仮説を立てた。自分の中はポールなんじゃないかと。僕はどうにかして自分近くにいたかった。
「おい・・・ポール大丈夫かよ」
と小さい声でジャックが呼びかけているがこれもまた無視することにした。
「おい、ポール一緒に来ないか?どうせ君はポールじゃないんだろ?だって僕がポールなんだから。」
やはり、自分の中はポールのようだ。要するに僕とポールは入れ替わってしまったのだ。そんなことを考えていると急に体が無重力空間に放り込まれたかのようにふわっと浮いたと思うといつも人間のときに見ていた光景が目に入った。そして
「ここが気持ちいいんだよなぁ」
といいながらあごの下の部分をなでられた。なんとも言えない快感であった。一生この感覚に浸っていられればどれだけ幸せなことか。しかし、下からのジャックの叫び声で現実に引き戻された。
「大丈夫!ポール!お前!ポールを返せ!」
「ポール。何かあったらさっき話した合図を出せ、いつでも飛んでいく!」
「ナイト、ジャック、心配はいらない。しばらくしたら戻るよ」
といいながら僕はもう戻ってこないが、と思った。ここで必ずもとに戻る手がかりを探して元に戻るのだ。次帰ってくるのは本当のポールさ。ありがとう。ナイト、ジャック。と心の中で思った。


第六章

僕は今浅い眠りから目覚めた。自分の腕に包まれて程よい揺れに身を任せていると、いつもまにか眠ってしまっていたのであった。気がつくとそこは見慣れた6畳1間のアパートの一室。そう、僕の部屋であった。久しぶりに帰ってくると家は目も当てられないほど散らかっていた。カップラーメンの容器着捨ててあるTシャツ。部屋の隅にどこから湧き出てきたのかわからないほどの埃や塵。きれい好きの僕の部屋にはあり得ない光景であった。
「猫。君はなにが好きなんだい?中身が猫か人間かもわからないからどうすればいいのか・・・。」
猫、というのは僕のことだと認識するのにまたもや時間がかかる。そして僕は朝から何も食べていないことに気がついた。しかしそれほどおなかは減っていはいなかった。人間のように三食ではないようだ。とりあえず水を出してもらったのでそれを素直に飲んだ。
「まぁ、とりあえず刺身でダメなことはないだろう。」
と言いながら、長年使ってきて黄ばみが目立つ冷蔵庫からブリの刺身を持ってきた。なかなかブリは食べないのだが、食べてみるとおいしいものだ。
「僕はブリが大好物でな。いつもブリばかり狙って捕まえていたよ。」
と思い出したかのようにぽつりとつぶやいた。
「そろそろ僕は出かけるよ。人間の世界じゃオカネってもんがないと生活がしにくいと言うことがわかってきたからね。」
ポールという猫はとても賢い猫のようで自分はとても安心した。ジャックのような猫であったらと考えるとぞっとした。二度と自分は社会復帰できなくなるのではないか。
「君は自由に散歩でもしていてくれ。夕方には戻るよ」
と言っている自分と一緒に家を出た。さて僕もなにをしようか。ナイトたちの場所まで戻ろうかと思いとどまった。とりあえずこのあたりの散歩でもしよう。いつも見えていなかったものが見えることもあるだろう。今の体なら。


第七章

街へ繰り出したが決して行き先は決まっていなかった。オカネというものはどのようなものかわかってきた。しかし、それはどこからわいてくるのだろうか?ほかの人間たちはどうしてあんなにもオカネをもっているのか?僕には解せない。すべて物は共有すればいいのに。そうすれば摩擦やもめ事は起こらないであろうに。なんて人間というのは私欲にまみれた生き物なのだろうか。反吐が出そうだ。考えるより聞いた方が早いだろう。
「すいません・・・すいません・・・すいま」
三回目の前に諦めた。人間という私欲の塊には自分の利益になること以外はしようとする精神はないようだ。にしてもなぜ人間はあんなにもせっせとかけずり回ってまで働くのか。と思ったときに一つの仮説が生まれた。働いたときの見返りがオカネなのではないかと。そうすれば人間たちがあんなに身を粉にして働いているのにも合点がいく。だが見返りのオカネはどこから支給されるのか。次から次へと疑問が浮かんでくる。頭がキャパオーバーになった時点で本能的に思考を停止した。この世界はなんて混沌としているのだろう。とりあえず働けば良いのだ。物事は単純に考えよう。働きさえすればどかかしらからオカネがわいてくるのだ。一枚のチラシを見つけた。求人情報?これだ!ここへ行こう。やっと自分のやることの方向性が見えてきたようにも思えた。ポールはチラシにある地図を頼りに歩を進めた。


第八章

僕は久しぶりにというか人生で初めてかもしれない。一日の間に何もやらなくてはない日は。人間であったときは仕事や、仕事がなければ家事と何かに必ず追われて切羽詰まる生活だった。しかし、今はなにをする訳でもなくあてもなくただただ今日という日を楽しむだけである。なんと素晴らしい生活だろう。こんな生活が一生続けばいいのにとも一瞬思ってしまうほどであった。そこに二匹の猫が来た。
「見ない顔だな。名前は何だ」
目の上に切り傷のある猫が言った。何ともジャックやナイトと纏う気配が全く違う。僕は尻込んだ。
「貴様口がついてないのか?さっさと答えろ」
間髪入れずに僕は
「ポール」
と答えた。
「ポールか。ポールと言えば二代看板、ジャックとポール、隣町の長の名前と一緒だな。お前はそのポールなのか?」
僕は困惑した。なにを言っているんだこの猫は。全く状況が飲み込めていない。しかし、余計なことを言うと状況が悪くなる気がした。そういう雰囲気を醸し出しているやつはどの世界にもいるものなのだ。
「まだ答えないとなると、ベリアル。闘将ポールの特徴。」
ベリアルと呼ばれた猫が答える。
「尻尾が以上に短く。明るい茶色の毛を纏っています。」
「ビンゴだな。」
悪い予感がする。と思う前に尻尾が反応していた。考えるよりも尻尾が先に臨戦態勢に入っていた。が、2対1はどう見ても分が悪い、いったん引こう。全速力で敵前逃亡した。プライドなどない。
「ベリアルよせ。体制と整える。やつはどうしたか我々に近づいてきたのだ。期を待て」
ベリアルはうなずいた。
逃げに逃げた僕は一旦頭を整理した。とりあえず今ある情報はポールは闘将と呼ばれている。あの猫たちとは敵対している。ということだけだ。待てよ。ナイトと初めてあった時に言った言葉はなんだったか。確か
「例の集会にも顔を出さないし。」
と言っていた気がする。もしかしたらその集会というのは幹部会のようなものだったのか?そうなるとジャックも幹部の一人なのか?しかし、猫は群れというものを嫌うのではないのか?と思ったがそれはあくまで人間の解釈であり今見ているものが現実なのだ。同じ物を見るのにも見方が違えば全く違う物に見えるのだと言うことの典型例を体感した。徐々に僕は柔軟な発想をすることが安易にできるようになってきた。その過程が正しいとすればこの周辺をうろつくのは危ないだろう。そろそろ日が暮れる。とりあえず家路に着こう。


第九章

ポールは公園のベンチに座っていた。人間はなんて規則ばかりの生き物なのだ。情というものを本当に持ち合わせていないのか?猫の世界は信用だけで成り立つ物なのに。彼らは本物の友情というものを感じたことがあるのか?などと鬱憤をはらすかのようにブツブツと今日一日分の不満を吐露していた。というのも地図を頼りにしていったところで起きたことがポールには非常にカルチャーショックに近いものを受けたのだった。一時間前。
「お、やっとついた。」
ポールは地図にある目的地へやっとのことでたどり着くことが出来た。中に入ると、
「いらっしゃいませぇ」
身の毛がよだつ。なんと事務的な挨拶であろうか。声音から溢れ出る感情のなさ。
「こちらへどうぞ」
致し方なく従うことにした。郷に入れば郷に従えである。
「どのような職業をお探しで?」
「オカネが欲しい」
「お給料が高いものでよろしいのですね?では履歴書をお願いいたします。」
「リレキショ?」
「お持ちではありませんか?では履歴書をお持ちの上、またお越しください。」
「リレキショはないがオカネが欲しい。」
「それは出来ません。規則なもので」
この人間はなにを言っているんだ。僕はオカネが欲しいのだ。リレキショとやらは欲しくはない。
「リレキショとはなんだ?」
店員はあからさまに嫌な顔をした。
「冷やかしでしたらお帰りください。」
なぜだ、わからないものを聞いてなにが悪いのだ。僕は不快さ。と怒りとともに圧倒的な敗北感を覚えた。

 ここまでコケにされたのは久々であった。

「おい。あまり調子に乗るなよ。」

気づいた時には相手の胸ぐらを掴んでいた。

「な、なにをするんですか!!」

慌てて手を離した。周囲からの視線が痛いほど身体に刺さる。自分はバツが悪くなったので店を出ることにした。

「やってられねぇ」

小さく呟いたはずの言葉はどうやら心の叫びであった。叫びは多くの人に伝播した。自分の纏っている負のオーラを感じ取り避けているのか、はたまた小さく呟いたはずの言葉が聞こえたのか。真実は分からない。ただ結果として周囲の人間が蔑むような目で自分の事を横目に見ながら個々の目的を淡々とこなしており、当たり前だが自分の周囲には人は寄ってこなかった。

「くそおおおおおおお!!!」

このどうしようもない気持ちに踏ん切りが付かずどうにも出来なくなった。身体の奥底にある全ての熱を出し切るように、心の中をクリアにするように、自分を落ち着かせるために吠えた。僕は吠えたのだ。世界のどこかで。たった1人で。


第十章

「おい、ベリアル。早速態勢を整えポールを始末しろ。大至急。」 と目の上に傷のある猫が言った。この猫の言葉には何か覇気のようなものがある。ベリアルは早速動き出していた。この2匹にはどうやら揺るがない主従関係があるようだ。 「やっと、終わるのか。」 目の上に傷のある猫は一瞬安堵とも取れる表情を見せたがすぐにいつもの威厳ある表情へと戻った。


第十一章

「くそおおおおおおお!!!」 どこかでそんな叫び声が聞こえた。 「なんだよ騒がしい…」 つい口に出ていた。猫になってからというもの人間の行動の節々に稚拙なところが見え、目を背けたくなる。家路につく途中であったがそんなことには少しも目をくれずに悠々と歩を進めた。とそこに目の前から数匹の猫がやってきた。さっきの猫の仕業だと直感した。すぐさま逃げた。路地に入り込み、道を何度も曲がり何度も壁にぶつかった。それほど必死だったのだ。ブロック塀を登り、屋根の上に登った。周りを見下ろすとあ何とも沢山のところに猫がいたのであった。自分は切に願った。今すぐ人間に戻してくれと。怖くて怖くて仕方無かった。目に見える恐怖が刻々と自分に迫って来ているのが分かったからだ。恐怖とは石ころのようにそこら中に転がっている。しかし、恐怖と認識しなければ何も怖くない。認識した途端に悪魔となり自分に襲いかかって来るのだ。そんな時後ろから声がした。 「終わりだ。」 ドキッとした瞬間、体は宙を舞った。振り返る間もなかった。落ちていく時に屋根から僕を落としたあの猫と目が合った。何かを言っていた。僕にはきっと届かない何かを。その時ふとナイトとジャックを思い出した。ナイト頼んだぞ………… 身体が未だかつてない衝撃に見舞われた。辛うじて意識はあったが、周りは猫に囲まれていた。ベリアルが言った。 「やれ。」 その言葉を聞いた瞬間身体がガクガクと震えだした。そして猫達の攻撃が始まった。もう何も考えることが出来なかった。気が付いたら攻撃は止んでいた。 「よぉ。」
「大丈夫かい?ここは任せな。君は逃げるんだ」 ナイトとジャックだった。他にも仲間らしき猫がいた。 「そんな瀕死の君でも逃げることくらい出来るだろう。助けに来たよ。兄弟。早く逃げるんだ。」 状況が読み込めない。とりあえず今は逃げろと身体が、神経が僕に命令している。走ろうと思ったが1本の足の骨をやってしまったようで上手く走れない、足を引きずりながらも懸命に前へ進んだ。いくつもの曲がり角を曲がった。いくつもの壁を越えた。いくつもの苦難を超えた。このまで逃げれば大丈夫であろう。そう思いながら丁字路に差し掛かった時。完全に注意不足だった。壁のように迫り来るトラックにもう運命を受け入れることしか出来なかった。ちゃんと助けてもらえなくてごめん。

 

第十二章

僕は頭を冷やしていた。この地の風に当たりながら。下界を見下ろせる高い場所で。ビルの屋上の淵に座りながら手を後ろにつっかえ棒の様にして空を見上げていた。雲はなんて優雅なんだろう。何も考えなくても生きていける。浮いているだけで良いのだ。等と思っていたがきっと雲は雲なりの悩みがあるのだろうと思いもした。実際はどうなのかはなってみないと分からない。自分は人間がこんな生き物だとは思っていなかった。私利私欲にまみれ、相手を思いやらず、自分の保身のために動く。こんな生き物この世の中に他にはいないだろう。猫の世界の方が遥かに平和であった。人類の歴史はよく考えて見れば闘いの歴史ばかりだ。なぜ闘いが起こるのか全ては人間の私利私欲が原因である。人間は学習しない生き物のようだ。自分が猫に戻る手がかりも掴めないまま心がどんどん荒んでしまったようだ。そんな人間、人間世界への不満が根雪のようにしんしんと心の中に積もっていた。どれだけ願っても、どれだけ悔やんでも過去だけは変えることは出来ないのだ。私達が生きているのは『今』であり、次の瞬間には『今』も『過去』になる。もう僕は耐えられない。立ち上がった。 「クソ喰らえ。」 人間の形を取ったポールの足は宙を駆けた。

 

fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしょう・・・

 

とりあえず読んでくれた方。おつかれさまです。

 

 

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See YOU!!!!!!